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港区女子の出口戦略とはなにか?

バブル世代には既視感たっぷりの港区女子

「港区女子」というものが流行っているらしい。

正直に言ってつい最近まで「港区女子」なる言葉も存在も知らなかったが、Girl Powerの女子メンバー情報によれば、どうやら東京カレンダーあたりが震源地らしい。それで調べてみたが、昨年から今年にかけて一気に露出が高まってきた模様だ。

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でわかったが、港区女子とは要するに西麻布あたりの港区に生息し、金持ちの起業家や業界人、芸能人、外資系などのハイスペック・サラリーマンなどと夜な夜な合コンを繰り広げる女子たちのことらしい。当然、ビジュアル偏差値も高く、ブランドものも当たり前、ブログやインスタにオシャレで高そうな店でメシを食ったり、海外の高級リゾートに滞在したりの投稿を繰り返す。いかにも金のかかっているセレブなライフスタイルを送りながら、その実、なにして金を稼いでいるかさっぱり見えてこない。モデルやってます〜みたいな子もいるが、どう見てもモデルとして高い収入を得ているようには思えない得体の知れない女子たちだ。

そんな彼女たちの理念とミッションは、もちろん金持ちでセレブな独身男との結婚だ。

バブル時代をリアルに体験した世代からすると、クラクラするくらいの既視感だ。

失われた20年と言われ、実感なき景気回復と言われるこの日本で、再びこのような女の子たちが出現するとは思ってもみなかった。バブルと共に完全に消滅したと思っていた。それが復活したのだ。

。まあ、イケイケ女子の出現率と景気は連動する傾向にあるので、このような女の子たちが増殖するということは、日本のどこか(港区あたり)でバブルが発生しているということで、そうだとすれば日本経済に取ってはグッド・ニュースではあるが、しかし、当の女子たちにとってはどうなのか? そこはちょっと心配になる。バブル世代だからこそ、彼女たちの行く末が見えてしまうからだ。

あの頃、痩せた美人で幸せになった女はいなかった

バブル時代には「痩せた美人で幸せになった女はいなかった」と言われている。

バブル時代の80年代後半は、若くてキレイな女の子が最強だった時代でもある。

最強というのは、とてつもないパワーと能力を有していたという意味だ。

「スキーに行きたい〜」と言えば、周りの男どもがよってたかってクルマを出して、スキーに連れて行ってくれる。ヴィトンが欲しいと言えば誰かが買ってくれて、イタメシが食べたいと言えば誰かが奢ってくれて、タクシーがつかまらないと言えば誰かがクルマで迎えに来てくれた。

アッシー、メッシー、ミツグ君という言葉があったが、男どもは好んで若くてキレイな女の子の下僕となって喜んでいたのだ。

彼女たちが手に入れたのはブランド品や下僕のような男たちのサービスだけではない。夢も手に入れたのだ。

「こんな仕事をしたい」と言えば、誰かがその仕事を作ってくれた。当時は飲食店の店舗プロデューサーが花形の職業だった。だから「店舗プロデューサーになりたい」と言えば、誰かがレストランやカフェ・バーを作ってくれた。輸入の仕事がしたいと言えば、誰かがイタリア製の家具を輸入する会社を作ってくれた。ディスコを作りたいと言えば誰かがディスコを作ってくれた。おまけにアメリカから一流アーティストも呼んでライブもやってくれた。やりたいことを口にするだけで、夢は次々とかなった。

欲しいものを口にすればなんでも手に入り、したいことを口にすればなんでもできる。まるでギリシャ神話に登場する、触れるものはなんでも黄金に変える能力を持つミダース王みたいな存在だった。

しかし、そんな女の子たちが幸せになれたかというとそうではない。

ミダース王はやがて自分の、黄金の能力を呪うようになる。食べ物に触れればそれが金になり、飲み物に触れても金に変わる。愛娘を抱けば金の彫刻に変貌する。飢餓の苦しみと愛を失った悲しみからミダース王は自分の能力を憎む。そして、彼にその能力を与えた神・ディオニューソスに懇願し、能力を取り払う。元に戻ったミダースは、冨と贅沢を憎み、都会を捨てて田舎に引っ込んでしまう。

バブル時代のミダース王=若くてキレイな女子たちも、贅沢でキラキラした生活を謳歌しながら、バブルの崩壊とともに自分たちの生活も夢も崩壊させてしまった。

金持ち男と結婚してセレブ妻になったはずなのに、夫の会社が倒産し巨額の借金を抱えてしまった。

パパ活していた女子も多かったが、そんなパパたちはバブルが崩壊すると経済事件の主犯としてマスコミに追求され警察に逮捕され刑務所にぶち込まれた。パパからもらったはずのマンションもベンツも毎月の高額な給料もすべて取り上げられたが、中には「あの男の愛人」として週刊誌に顔をさらされた女子もいるから、マンションを追い出されたくらいですんだ女子はまだラッキーな方だった。

そして彼女たちは、すべてを失い、逃げるように田舎に帰った。多くのバブル女子がそんな末路を辿った。あの頃、痩せた美人で幸せになった女はいなかったのだ。

そのような女の子たちをリアルに見てきたから(付き合ってきたから)こそ、港女子のみなさんには言っておきたい。出口戦略を間違えるなと。

港区女子が取るべき出口戦略とは?

港区女子の目的はハイスペックナ男性をつかまえて結婚することだという。

しかし、男性の側から言わせてもらえば、その夢がかなうことはほぼないだろう。

考えてみればわかることだ。贅沢が好きで、夜な夜な男たちと合コンしているような女子と結婚したいと考えている男はいない。セックスはするが結婚はしない。食い逃げされて終わりだ。運がよければ恋愛関係には持ち込めるかもしれないが、やはり結婚は難しい。

港区女子も、本当にハイスペック男子と結婚したければ、西麻布の怪しげなバーで開かれる合コンに参加しないで、チャリティ・ガラにでも参加してお小遣い程度でいいから寄付でもしておけば、「’けなげで良い子じゃない」と、どこかのセレブ・マダムに見初められて息子と結婚できるかもしれない。少なくとも合コンに行くより、はるかに「まともないい男」をゲットできる確率は高いだろう。

しかし、港区女子の中には食い逃げ上等というか「男を喰ってのし上がってやる」という気骨ある女子もいるだろう。

そのような女子の皆さんの出口戦略は、昔から男に会社を作らせてやりたい仕事をやることだと相場は決まってる。いや、昔は店を出させるが相場だったが、バブルの頃から会社を作らせるが主流になった。会社を作らせて夢をかなえるのだ。

なので、頑張って男どもに会社を作らせて、夢を叶えて欲しいが注意すべき点もある。その男と別れた時に、何を確保しておくか?である。

港区女子のみなさんが会社法をどこまで理解しているかわからないが、パパから「会社を作ったよ。キミが社長だよ♪」とか言われても、それは単なる雇われ社長なので、パパと仲が悪くなったり、パパに新しい愛人ができたら社長解任の憂き目にあう危険性がある。「やった!社長だ!会社もらった」とか喜んでいる場合ではないのだ。

それを防ぐめの最善の方法は、会社の株を過半数、もらっておくことだ。会社を作るとは概ね株式会社を作るのだが、会社の支配権は株主が持っているので、できれば過半数の株をもらっておいたほうがいい。そうすれば会社を追い出されることはない。

ただ、相手が芸能人とかスポーツ選手とかで会社経営の経験がなければ、うっかり株の過半数をくれるかもしれないが、パパが企業経営者の場合、そのあたりの理屈はよくわかっているので、過半数を持たせてくれない可能性が高い。つまり、ある日突然追い出される危険性がある。

だから考えるべきは、追い出されても持って逃げられるものを準備しておくことだが、これも下手な持ち逃げをすると横領で訴えられて別荘(刑務所)暮らしを余儀なくされるハメになる。

持って逃げても罪にならないものを持って逃げる。それは無形のものだ。権利、信用、人脈、実力など。

 

しかし、信用も実力もパパの後ろ楯があってこそという部分もある。

お勧めは学歴だ。これは誰にも奪えないし、持ち逃げしても罪にはならない。パパの後ろ楯とはまったく関係のない、自分で獲得した実力の証でもある。

というわけで、パパが気前のいいうちに大学院に行ってMBAとかPh.Dとかを取っておく。あるいは公認会計士などの資格を取っておく。学歴も資格も取るには金がかかるが、取ってしまえば誰にも奪われることはない。

そしてMBAホルダーや有資格者になればハイスペック男子と結婚できる可能性が出てくる。ハイスペック女子はモテないが、それは恋愛市場における比較論の話で、結婚できないわけではないし、ハイスペック男子は妻となる女性にハイスペックを求めるケースも多いので、少なくとも合コンに出まくるよりハイスペック男子をゲットできる確率は高い。ハイスペック男子を狙うなら、自らがハイスペック女子になる。これが港区女子の最強の出口戦略ではないかと思う。

 

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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